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赤ん坊ですから、大きな声で泣いていてもそれも 生命力の証 です。笑っていたとしたら、親から見たら何にも代えがたい愛らしいものとして目に映るでしょう。 万緑のころに歯が始める赤ん坊が生まれたのは、まだとても寒い頃でしょう。風邪をひかせないように気を遣って、冷たい外の風から守り、大切に育ててきたことでしょう。 また、この赤ん坊が生まれたころの外の景色は冬枯れだったものが、生命力あふれる万緑の景色へと様変わりしていることも、この句の話者である赤ん坊の親は、 時の流れと我が子の成長を実感しているのかもしれません。 「万緑」の伸びやかに生きていることを謳歌するエネルギーや躍動感が、 これからますます育っていく赤ん坊の成長を嘉す、祝祭的な句 でもあります。 作者「中村草田男」の生涯を簡単にご紹介!
TOSSランド | 万緑の中や吾子の歯生え初むる Loading...
)抱いて その大きく開けた口の中に見える小さい歯の片鱗を 親ならではの嬉しさと喜び、そして不思議さと驚きとでもって つくづく眺めている、という情景なのではないでしょうか。 もしかしたらその子は泣いているのかもしれず(で、歯が見えているとか) その強い泣き声も草田男には生命を謳歌する声と聞こえるのかもしれません。 って、あ、全部勝手な妄想なんですけど・・・。 1人 がナイス!しています 「初むる」は「初む」の連体形で、意味は「はじめる」といったところでしょうか。 句全体の解釈としては、 「この美しい万緑の季節の中で、私の子の歯が生えはじめた」 あるいは、 「私の子の歯が生えはじめたのは、この美しい万緑の季節の中なのだ」 といった感じです。 切れ字「や」があるので、「万緑の中」という部分に感動の中心があります。 だから、我が子の歯が生えはじめた、ということも十分に感動的なのですが、 それが生命力あふれる万緑の季節であったことに我が子に対する祝福を感じ取った、 という解釈も可能だと思います。 親馬鹿と言えないこともない句ですが、これだけあけすけにはっきり言われると、 かえって清々しく感じるので、私はこの句が好きです。 1人 がナイス!しています